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求め続けるもの(1) [長編]

*この話は12巻の中でカイルが強引にユーリを

自分のものにしようとしたシーンを原作とは違う

私が勝手に考えた続きです。

好ましいと思わない方は読まないで下さいませ。




「・・・・へい・・・か・・・・」

ユーリはいつもとは違うカイルの行動に戸惑っていた。

熱い吐息と密着した肌のぬくもりがさらに頭を混乱させる。

「やだ・・・、いや!」

カイルの腕から逃れようとするが力が及ばない。

「わたしを拒むことは許さない・・・・!」

『どうして・・・・?いつもの陛下じゃない・・・。

あの眩しいような微笑みも優しい口付けも嘘だったの・・・?』

初めて見る男の顔のカイルにユーリは怯えていた。

「誰か・・・助けて・・・!」

逃れようと伸ばした手も自由を奪われた。

「無駄だ。誰も来やしない」

冷たい言葉。険しい表情。

全く違う人間に見えた。

「ハディ!」

同じ言葉を何度も繰り返す。

『どうして来てくれないの?』

ユーリの瞳から涙が溢れてきた。

『ハディたちもあたしに陛下のものになれと・・・言うの・・・』

「いや!!」

「ユーり」

何度もユーリのの前を呼びながら口づけを繰り返すカイル。

ユーリの口から発せられるのは否定と懇願。

それを受け入れるほどの余裕はもうカイルにはなかった。

手放したくない!その想いが取らせた蛮行。

「・・・・愛してる」

カイルはユーリの口からも同じ言葉を望んだ。

しかしそれは虚しい期待だった。

『むごい事をしているな、わたしは』

カイルは自嘲した。

身体の欲望なら抑えられただろう。

しかし心の渇望は自分でもどうする事もできなかった。

異性を初めて受け入れたユーリの顔は苦痛に歪む。

きつく閉じられた瞳からは涙が零れた。

カイルにとってもこのような行為は本意でなかった。

今まで女性に対してこのように無体な事をした事は

一度も無かった。

「おまえの身体にはわたしを刻み付けた。おまえはわたしのものだ」

その言葉に何の反応も示さずユーリはうつぶせになったまま

身体と心の痛みに泣き崩れた。

『もう誰も信じられない・・・!!』

カイルは去る前に頬にキスをしようとしたが止めた。

自分のした事は許されるべきではない。

愛していたからと言ってどうする?



ユーリの部屋を後にしてしばらくすると

イル・バーニが立っていた。

「首尾は?と聞くまでもございませんな」

「ハディたちはおまえの仕業か?」

ユーリの声を聞いてあの三人が来ないはずがない。

誰かが遠ざけたと考えるべきだ。

「キックリが少し前にバツが悪そうに陛下の部屋から

出てまいりましたので少し話しを」

「余計な事を」

カイルはムッとした顔で言い捨てた。

「これでユーリ様はあなたのもの。そしてヒッタイトも・・・」

「わたしはユーリを利用するつもりはない!」

イル・バーニは何もかも見通したように少し笑みを浮かべた。






揺らぐ心 [短編]

『本当にユーリ様の事を想っていらっしゃるなら

何故その腕に抱こうとはなさらないのですか?』

軍師であるイル・バーニの言葉がわたしの心に

小さな小波を起こさせていた。

わたしは以前より正妃ひとりを愛しぬこうと

考えていた。

しかしユーリはこの国の人間ではない。

わたしは正妃を皇妃を持たなければならぬ身。

それでも自分のものにしようと思うのは

それはわたし自身のエゴでしかないのだ。

わかっている・・・

わかっているのだ!

なのに何故こんなにも心が揺らいでいるのだ?

大きな夢のためにはこんな事は些細な事だと

思うべきなのだ。

わたし個人としての気持ちなど

関係ないのだから。

早くユーリを日本とやらに還してやらなければ

わたしの自制心が保てるうちに。

それを知ってか否かユーリはわたしとの距離を

あけようとしている。

王位とユーリこの二つを望むのは許されない事なのか?

張り詰めた心を和らげてくれるものを

求めてはいけないのか?

いくつもの疑問をめぐらせながら夜が更けていく。

夜など早く明けてしまえばよい!

そうしなければわたしはきっと自分の中の欲望に

負けてしまう・・・・。

ユーリの気持ちを考えず自分が思うままに

抱いてしまう。








初めまして [ご挨拶]

二週間ほど前から再び「天は赤いほとり」に

はまってしまいました・・・。

二次小説を探しても数が少ないようなので

自分で書いてみようかと思い開設させて頂きました。

不定期更新になるかと存じますが

宜しくお願いします。
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